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サド屁の路に戻る / ドス鯉レポ1へ

【9/4土曜日:レース前日】

 レース前日の土曜日の朝は薄曇りの微風。どす鯉のアジトの外は大変キモチよいの である。6:30頃に目が覚めるも、昨晩の宴の残りカスが三重のマワシとなってまとわ りついて、転がるコマのようにしか動けまへんがな。どす鯉以上にビールを飲んでい たGTI夫妻は、朝からせっせと食器洗い。「おはようございますぅ〜、昨日あんなに 飲んだのにぜ〜んぜん残ってないんですよぉ、よかったですねぇ〜」なんて言ってい る。
 焚き火で作った軽い朝食(キャベツと特大ナス入りの豪華夏野菜味噌汁!)の後、 GTI家は車でランコースの下見に。GTIは下見から帰ってくると、しきりに「長ぇコー スだなぁ。ランは長ぇなぁ〜。まるで○○みたいになげぇなぁ。チクショー!キン チョーしてきたぜ〜」を連呼している。42kmは長いに決まっているのだ。どす鯉は、 余計な不安を掻き立てるそんな下見はしないのだ。で、タープの下でキモチよく昼寝 を貪っていたのである。
 12時近くになってようやくキャファ試作の他人用ウエットスーツ(つまりは新製品 なのだ)を着て海に飛び込む。7月の野尻湖大会で5シーズン目の窮屈なウエットスー ツを着て溺れそうになったため、哀れんだ辻本さんが「大きくて全くサイズが違うけ ど、古いウエットで死なれるとKijafaの名前が入ったウチも困るし大会側も困るん で、これ着てください!」といって特別に貸していただいたものである。上下ツー ピースのフルウエットなのである。プロショップから試作品を貸してもらった!なん ていうと、なんだかプロっぽくて大変いい気分なのである、うむ。  当然なのであるが非常に伸縮性が高く、一緒に持ってきた古いウエットと比べる と・・・「チューブラータイヤ」と「WOのチューブ」ほどの差があって比較にならん のである。当然、新しい方が・・・WOのチューブの方なのだ! そして、泳いでみた 第一印象が「これを着て泳ぐのは、反則行為である!」であった(当然ですが規則に 則っているんで実際には販促にはならんどす)。それほど良く浮くんです。胸回りが 他の部分に比べてて少し窮屈でしたが、水に寝そべると(まさにそんな感じ!)空気 が背中にまわり、その空気が胸周りを広げてくれるので、窮屈感は解消されてしまう んです。仰向けになると、まるでラッコになった感じ! 少し心配していた肩周りの 抵抗も、袖を肩のあたりにに引っ張っておけば全く問題ないことが判明。これでは皆 がフルウエットを作るワケだ! 年明けにわが家の大蔵大臣にたのんで、夏もの特性 スーツ(ウエットスーツのこと)を一着買ってもらうことにしよう!
 午後は所属チームと合流し、ようやく選手受付と競技説明会を聴講。今年も地元警 察の「ご指導」によりバイク・コースにマーシャルはいない。明日がドラフティング 天国の「日本一の大練習会」にならないことを祈るばかりである。会場付近では、昨 晩人間に化けてでた「岡山の酒飲み虫」の面々と談笑し、スポーツ・アシストの山崎 さんからKijafa通信読んでますよ、と声をかけられてオリンピック記念ボールペンを 1本いただいたのだ。そして、お気に入りのラーメン屋で特性味噌ラーメンをひとす すりして、午後7時にはシュラフのヒトとなったのであった。
 アジトの外は、鈴虫やコオロギが可愛くリリリンと鳴いて、ZZZzzz...

【9/5日曜日:レース当日】

 「ピピピピッ、ピピピピッ、」ゲッ!もう3時かよ!さっき横んなって鈴虫の音を聞 き始めたばっかしじゃねぇの! ああ〜ねむテェ〜!しかし世の中諸行無常。チョロ チョロとスタートの準備をしていると時間はどんどん過ぎ、あっという間にスタート 1時間前(5時)なのだ。  突然緊張感が襲い掛かり、今日のスイムは苦しまずに思い通りにいけるだろうか (ゆっくりスタートすれば大丈夫さ)、できれば10位前後であがりたいなぁ(それに はスタートでDashをかけんとならんなぁ、また呼吸困難になったらやだなぁ!)など と、またおかしな欲が出て葛藤が始まる。スイムのアップ時間は短いので、思い切っ てランニングのみで早朝稽古(アップ)を済ませた。ランニングはLSDペースから徐々 に上げてHRで145bpm(強度80%)までで約2km。途中、MightyのBタイプに出場する仲 間達とすれ違って声を掛け合う。いつもなら、立ち止まってジョークの2つ3つも飛 ばすところだが、今日は挨拶のみですれ違う。彼らはスタートまでまだ1時間以上あ るが俺はあと30分で・・・と思うとまた少し緊張感が。 すると、ジョグなのに酸欠状態のようなモーロー状態に!うおっ、マズイ!これが野 尻湖のスイム・スタートで起こった感じだ!視界がクラクラと揺れた感じがして、少 し息苦しい。でもスイム中にでなくて良かった。予感的中。どうやら目は開いていて も、まだ交感神経が寝ていたようだ。ジョグでようやく体内のジキル氏とハイド氏の 交替命令が下ったようで、暫くしてアタマはスッキリしてアクビも止まった。さっき までの緊張感が少しほぐれ、少しずつだがやる気がでてきたぞ!  スイムのスタートは、砂浜からのランニングスタートでどす鯉初体験!ゲゲゲ。こ れでは血気走ったスイムの遅い選手が、ドスの前で進路妨害してしまうではないか!  かといって、スタートの浅瀬でエネルギー使い果たすほど頑張って走りたくもない し・・・などと迷っているうちに、1分前。誰かが「○○○で○○するぞ〜」と声を あげ、わけもわからず、とりあえず「ウォ~ッ!」と答えたところで、スパン!とス タートの合図だ。  沢田海水浴場は相当な浅瀬で、数十メートル進まないと泳げる深さまでいかない。 膝くらいの深さまで来たところで前に選手が二重三重の列になって泳ぎ始めた。ドス もそこに割って入ろうとするが、すぐ前の数名の選手がまだエッチラオッチラ走って いるので思うようなポジションで泳ぎ出せない。仕方ないと意を決して3~4列目辺 りで泳ぎ始めた。やっぱり野尻湖のように出だしの呼吸困難が怖いので、ここは飛び 出したいのを我慢してスローペースで泳ぎ始めるしかない。我慢、我慢だ。やたらと 早く大きく息を吸わないよう、無理してダッシュせずにできるだけ落ち着いてペース を作るようにした。前の選手を脇からすり抜きたい衝動に駆られるが、もう少し我慢 だ・・・と思っていると、だんだんと周りの選手も少なくなり、呼吸も落ち着いてき た。第一ブイまでは約1.6kmの長い直線なので、急に選手が固まってバトルになる こともあまりないのだ。このコース設定は大会事務局の作戦勝ちで、悠々と泳ぎたい どす鯉には良かったぞ!

 スタートから4〜5分経った頃であろうか、もう完全に呼吸がいつもの練習と同じ 状態になったので、少しずつプルに力をこめてスピードをあげた・・・。がなんと、 列のかなり左側に陣取ってスタートしたのに、今は最右端のロープの隣りで泳いでい るぞよ!ナヌ?ワシ、そんなに右に蛇行したか?と思って、ちょっと左に舵をとる と、すぐに集団から外れてしまい、ヘッドアップするととんでもなく左に向かってた りする。左にいた選手が突然目の前を横切っていったり、前にいた選手が突然いなく なったり・・・。自分も回りも、ほかの選手を羅針盤にして泳ごうとするもんだか ら、ちょっとの軌道修正が実は相当大きな角度で方向転換していたりして、どす鯉の 周りは蛇行がかなりひどかったようである。もうメチャクチャ。前の選手の飛沫で視 界が遮られないように集団から離れると、今度は自分がモーレツに蛇行してしまう。 今回は、呼吸困難ばかり気にして遠くの目標物を確認するのをわすれてしまったのが 敗因か? そんな目隠し鬼ごっこのような泳ぎが2.7〜2.8km過ぎの第2ブイまで続 き、ついさっきまで15mほど先に見えていた集団もいつのまにか見失ってしまい、気 がついたらかなり先をいかれてしまった。そればかりか、後ろに続いていたと思う集 団の中に飲み込まれてそのままスイム・アップ。第2集団のケツであがったようだ。 アナウンスが「ただいま、16番目の選手がトランジットに・・・」といっているの で、それ以下だ。タイムは1:07で例年よりも4−5分遅く、過去最低の20位台の様だ が、まぁ試作品のウエットスーツのお陰で溺れずに良く浮いて泳げたと思う。スイム は若手の台頭が激しいし、今年の練習量(月間20−25km)からしたら仕方ないか、と 自分を慰めてさてバイクへ。

 バイクではheart rate monitorを着けて、オーバーペースに気をつけて走る。しか し、いきなり155bpm。ドスの最高心拍数は170-175bpmの間だろうから、いきなり80% の負荷だ。こりゃイカンと思うけれど、ペースは早々下げられない。今年延長された 小佐渡の先端は、予想通り適度なアップダウンで休ませてくれない。遂に162bpm (90%)にまで上がってしまった、あ〜このまま最後までいかなアカンのやろか!
 しかし、登りあれば下りあり。岬を周った10kmほどの地点からようやく145− 149bpmに落ち着いて、脚が回り始めてきた。ここで、ようやく今日の天気が曇天なの に気づく。晴天だとまばゆいばかりに光輝く日本海も、ライトグリーンや黄金に棚田 も、今日はみんな同じ色に見える(サングラスしてるせいやろか?)。40km地点を通 過。後を追いかけてくるチームメイトのGTI選手には、できれば小木の坂まで逃げ切 りたいところだ、と思った途端、45km地点の跳坂の取っ掛かりで「うお〜し、追いつ いたァ〜」とGTI選手に抜かれてしまった! マズイ、かなり早い段階で、それも坂 の手前で追いつかれたぞ、これではゴールまで勝負にならん!
 跳坂を登りきって大野亀までの細かくウネるようなアップダウンのなか、GTIを見 逃すまいと後を走っていると10数名のドラ糞ティング集団、そのすぐ後にもまたドラ 糞の特大集団に抜かれてしまった。例によってトサカに血が上り、「バーロー!1人 で走れんのか、この卑怯もの!」と生まれてこのかた口にしたこともないような汚い 言葉が飛び出す。しかし、カエルの面にションベン。少し前にいたGTI選手が抜かれ る際、彼は糞化を避けようと足を止めて集団を先に行かせるも、あまりにいつまでも 続く大きな集団に唖然として「何だアレ!○×▲□!」と指をさしてこちらを向いて 絶叫した。GTI選手は、その後もしっかりと20mほどの間隔を空け、ウネウネと曲が りくねる道を走りつづけているのが後ろから見えた。

 しかし、大野亀、二ツ亀(50-55km地点)を過ぎたあたりで少しずつGTIがドラ糞 からはなれていくのが遠くに見えたスよ。それは怒りと悲しみの光景で、なんだか涙 が出てきそうでした。GTI、さぞ悔しかっただろうによく我慢して正々堂々と走った よ。あの卑怯者のヤローども、あとで全員打ち首だ!表彰台に上がった日には不正の 数々を全部バラしてやる!と、どす鯉は怒り狂ったのであった(糞中に知人の姿も あってとても悲しかったドスよ。彼ともう絶交だ。反対に、ドラフティングを選手か ら指摘され、良心の呵責からゴール後に審判員にその旨を自己申告し、ペナルティを 甘んじて受けたという潔い人も実際にいました)。どす鯉は、集団についていける力 を持ちながらもドラ糞ティングを自ら避けて走りきるGTIと同じチームの一員である ことを、この時、本当に誇らしく思いましたよ。順位やタイムよりも、もっと大切な 「誇りとロマン」をワシらは持っているもんね「一人で190キロに立ち向かう勇気こ そ佐渡大会の醍醐味(Kijafa通信読者の某氏の名言)」これを実行してこそのアスト ロマンの称号を得る資格があるのだ。  その後、バイク前半の大佐渡の東側海岸を両津に向かい、100km地点手前でようや くGTIを捕らえたんですが、「まだあと90キロもありまっせ〜」とドヨ〜ンとした声 を出してGTIがロングスパート!
 一方どす鯉、場所前の稽古が不十分だったのか力水(狂い水?)の飲みすぎか、な ぜか思うように体が動かなくなり、ケイデンスも90どころか75rpmまで下がってしま い、85rpmをキープするのもヘンタイ(いえ、大変)になってきました。耐えて耐え て耐え忍ぶのも稽古のひとつであるが、なんだかとってもツライぞよ。後半の小佐渡 に入り、北端の姫崎を周ってもどんどん力が抜けていき、補給食に最適!っていうフ ルーツ・カステラやネチネチ高カロリーバーを補給をしてもどうにもならんどす。そ のうち、遂に嘔吐2回。時々出てくる登りは壁のように感じ、小木の坂以外では始め てフロントをトリプルに落としてしまいましたス、うむむ、情けないというか助かっ たというか。GTIはもうとっくに見えなくなってしまった・・・。あ〜マズイぞマズ イゾ・・・視線もだんだんと下向きになってきて、目の前が霞んで来たような気がし てきた・・・。ここで落車してリタイアするのは幾らなんでもカッコ悪いし後悔して もしつくせんだろうと思い、遂に意を決して130km地点でバイクを降りたスよ。そし て、左脇の歩道に仰向けになってひっくり返りました。ああ〜キモチええ〜、ああ〜 〜アタマの中まっ白だぁ。もう誰も起こさんでええケンね・・・。 しばらくすると、道の反対側で応援していた野浦の方々が飛び出してきて、「大丈夫 ケ? 毛布もってくるスケ。オイ、枕もな。寒いスケ、毛布かけて寝てらっしゃい」 と随分手厚く介抱していただきましたスよ。ゴザも隣りに敷いてくれたんですが、 50cm横に移動する余力が無くて、ただもう毛布を掛けて枕をしていただくままサレル まま・・・。足元の道路にはシャーッ、シャーッというドラ糞の大集団の音が引っ切 り無しに聞こえて、寝るのにも気が散るんスよ、あの馬鹿どもが!

「ああ、ほんとにキモチええなぁ。ずっとこうしていると、リタイアになるんか なぁ・・・誰かリタイアですか?って聞いてきたら、どない答えようかなぁ」なんて 弱気なこともチョイト思ってみたりして・・・。何度か大集団が走り去る音を聞いて から、おお、これはイカンイカンのスルメイカ!と思ってゴム人形のごとく飛び起き て、介抱していただいたオッちゃん、オバちゃん達に御礼を述べて走り出すことにし ましたッス。「どれくらいひっくり返ってましたどすか?」と聞くと、「それほど長 くないっちゃ、10分ちょっとじゃ」とのこと。どうやら自分が思っていたよりもかな り長い時間気を失っていたらしいどス。バイクの途中で降車するとは自分でも信じら れんことでしたが、その辺の電柱や車にぶつからなくて良かったと思うしかないス。  さて、ヒルネの野浦から10kmほど先の赤泊AS入り口で、「塩特盛りのおにぎり!」 と叫ぶと、エイドの最後尾にはちゃんとそれが出来てくるから凄い! 佐渡のボラン ティア・スキルで全国に広まった必殺の荒技は数々あると聞くが、なるほど納得なの である!あんたたちは凄い!! オニギリをもらった人は、わざわざ海苔を剥がないで 食べましょう!こんな旨い握りメシ、久々どしたよ。お陰でどす鯉はゾンビ的復活を しました! 小木の2km以上に渡って、これでもかと続く登りはさすがにまいりま したが、その後は脚が止まることなく、遅ればせながら快調怪鳥クェクェ〜っと飛ば しまくってバイク・フィニッシュ。6:58もかかったスけど、タイムはもう気にせん どす(といって、しっかり気にしている)。先に行くGTI選手をトコトンぶいぶいと追 いかけて、とにかく体内に一適の余力も残さずに完全燃焼ゴールすることだけに集中 ドス!

 ランの出だしは、例によってぴょンぴょン上下動するけど全く前に進まないような 不思議な感覚。心拍数を140-145bpm(強度74%)以下に保つように少しスローに感じ るペースで走る。が、もう159bpmどすよ!こりゃイカン、放っておくとだんだんと上 がってしまうペースをなだめつつ、5kmを27分。マズマズか。途中、畑野に入る手 前でどうにも我慢できずトイレに突撃! 丁度選手交代でマンモスLUCKY! Bタイプ 折り返しの10km地点の通過は57分。トイレでゆっくりしゃがみ過ぎたか? 新穂の神社にぶつかる三叉路で、GTIらしきオレンジのチームジャージが左の折りか えしコースから右の折り返しコースに向かって快走するのが見えた。なんてこった、 GTIとはもう6-7kmも差がついているんか。こりゃ完敗かもしれん、などと思ってい るとまたもや凄い睡魔が襲ってきたス。傾く太陽に向かう三叉路の左側折り返しコー ス、暑いし眩しいし・・・。すると、既に三叉路の反対側、右の折り返しコースに 入っていたと思っていたGTIが向うからやってきた。「アレ?もうあっち(右折り返 しコース)に行ったと思ったよ」「いやもうバテバテで」「結構いい走りしとるヤン ケ!」「いえいえ・・・でも、最後まで頑張りましょう」と短いけれど万感込めた挨 拶と握手を交わし、また背中合わせで走り出した。 しかし、その道の復路でとうとうドス鯉は睡魔に負けて、またもや道端にひっくり 返ったのだった。眠い!トコトン眠い!今朝起きた時にまだ寝たり無い!って思った のは、正直な体の反応だったんだ・・・などと後悔しても始まらないようなことをツ ラツラと頭に浮かべること約2分。イカンイカンイカン!GTIと最後まで頑張ると約束 したヤンケ。ヨロリと立ち上がると、後ろには10年来のライバルであった三条トライ アスロンクラブのK藤さん。足取り重そうだで、一見負ける気はしないが、走り出す とK藤さんと同じペースではないか!なもんでショック!情けないがこれが現実!も う根性で前に出て、振り向かずに走りきるしかない。新穂の三叉路を直進し、反対方 向へ3kmほどで折り返し。ここで再びGTI選手とすれ違い、先ほどのすれ違いから30 分ほどの近況報告をする。GTIはドスに追いつかれまいとプレッシャーと戦い、ドス 鯉はまさかの逆転を神さまにお祈りして、再び背中合わせで走り出したのであった。 イヤしかし、この辺(25kmあたり)に来て、ようやく周りの景色が見えるようになっ てきたドスよ。ペースは完全にキロ6分を下回り、目標のラン4時間切りはお預けにな りましたが、最後の種目も後半に入ると、祭りのクライマックスが近づいてくるよう なミョ−な高揚感を感じて、A.Sの人たちとも自然と会話が進み、ちょっと余裕が出 てきたかな。佐渡のA.S.は高校生や中学生が大勢参加してくれているのにようやく気 づき、佐渡は将来がすごく楽しみな所だなぁ、なんてフト思ったりしたんです。オッ ちゃんオバちゃん達とオモロイ会話を弾ませて、苦痛みをしばし忘れるのとはまた違 い、彼らの前では遅くともアストロマンらしく、毅然として最後まで走りぬかんとア カンわ、といった底力みたいなのが突き上がってくる気がするんスよのう。彼ら、一 直線にこちらを見てスポンジや水を渡してくれるんで、きっとそう思うんどすなぁ。 フラフラしてると、なんだか子供達から逆に気合入れられそうで・・・。お陰で、ど す鯉ゾンビもまた少し元気が出てきたぞ。あと10kmを60分以内で走り抜け、12:30(午 後6:30)までには帰らねば!と目標も定まりましたッス!

 市街地の最後の登りを過ぎると、あとは大体下り基調だ。一旦上がったスピードは 落とさないように。25km地点で抜かれてから、ずっと前を走っていた地元の緑色ゼッ ケンのお父さんにとうとう追いつき、田んぼに出たところで抜いた。次の金丸エイド までが3km以上あって一番水が欲しい区間なので、最後はマワシに貯めてた?水分も 枯れ、ちょっとピッチが落ちたかな。金丸ASまで来れば、たしかあと5kmだ。もう練 習距離よりずっと短い。落ち着いて、しかし急いで補給を済ませ、今度は2km先の八 幡ASまで。八幡ではとうとう日が暮れて、反射タスキを持たせられた。もうどんなに 全力で頑張っても、キロ6分前後のスピードしか出ていないんだろうなぁ。いつもな ら、これでもう暫く走らんでエエわいってホッとしてくるところなんですが、今回、 この次点で「ヤロー、来年こそはバイク、ランとしっかり強化して、絶対にまた帰っ て来ちゃるケンのう!」って誰にともなく宣言しちょりました。悔しいんでなく、ま だまだやれそうな自分に何か嬉しさを感じたんだと思います。先にゴールするはずの GTIには、今度はタダでおかんぞと。チームのBタイプ出場の面々には、ワシは41に なってもまだまだ元気どす、先輩たちもBタイプで満足しとらんで早くAタイプに出ん しゃい、アストロマン(Aタイプ)はこんなに凄いんだぜ!というところを見せたかっ たんだと思います。周りに誰もいないんですけどね。  そして、遠く夕焼け空が少し暗くなり、佐和田の町明かりが分かるところまで来る と、だんだんと町内の絶叫アナウンスが聞こえてきました。昨晩は6時には人通りも 殆ど無くなっていた通りが、今日は一人一人選手の名前を読み上げて、道路に埋め尽 くした応援者が、佐渡らしく暖かく完走を称えてくれます。一旦明るい街路を左折し て暗い海岸道路に向かい、そこから眩しくライトアップされた佐和田小学校グラウン ドがみえると、もうゴールはすぐそこだ。 高石ともやさんが、以前、こう言ってましたっけ。ここまで42kmも死力を尽くして頑 張ってきたんだから、最後の195mくらいはその苦しさを捨てて、完走のヨロコビを 体中で味わう道にしたっていいじゃないか、って。

 海岸線の道からグラウンドに入るところで、チームメイトが宮古島、五島長崎のゴー ルではためかしたチーム・フラッグを渡してくれた。ありがとう、今日も、今日に至 るまでもいろいろあったけど、また今年もここ佐渡で「生きているこの瞬間」を味わ うことが出来ました。 グラウンドを右回りに回ると、ゴールテープのすぐ右側に陣取っていた、総勢12名の チームメイトと応援団が握手とタッチをしてくれました!12:28。やっと終わった (このリポートももうじき終わりだ)。 昨年Bタイプ、今年宮古島と完走したPeさんは、今回、勇気を奮ってAタイプに挑みま したが、小木ASのバイク関門に2分間に合わず、残念無念のDNF。制限時間が比較的短 い大会ですが、死に際に悔いの残らぬよう、ぜひともまた果敢に挑んで欲しいもので す。


 今年は、宮古島、アイアンマンジャパン五島長崎、そして佐渡Aと出場して、なんと かそこそこの成績で完走できました。それぞれ、みな大いなる個性をもったいい大会 でした。その中でも、佐渡大会はレース全体のロケーションが群を抜いて素晴らしい と思いますし、日本海に沈む晩夏の夕陽をながめながら、初めてあう全国の同志や大 会スタッフらと年齢性別をこえてうま酒酌み交わすことも佐渡大会の楽しみです。そ んな大いなる佐渡トライアスロン大会を、島民の方々とともに、選手の側からもます ます素晴らしいものにしていきたいものだ、と静かに思いながら帰りの佐渡汽船フェ リーに揺られたのでした。

<完>

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