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エキップあづみのの恒例行事、「あづみのカップ・乗鞍タイムトライアル」が開催されます! 今年は8月末の恒例「マウンテンサイクリングin 乗鞍」が、 あっという間に申し込み締め切りになったことを反映して、 大会に参加できなかった方を中心に、あづみのチーム外部からの参加が多いそうです。 マイティの方、及びこのページをご覧の皆様、練習&腕試し(脚試し?)にご参加されてみては如何でしょうか! ご興味のある方は、是非大会事務局まで問い合わせてみて下さい!
(情報提供:EpあづみのT班にしてマイティ・スイムコーチ:ワタ串ナイトウ)


大人のための「発想転換スイミング」

以下のテキストは、Dr. Terry Laughlin(Total Immersion Adult Swim Campsの指導者、Inside Triathlonのコラムニスト、SWIMマガジンの編集者)が作成するサイト http://www.triclub.com/training/swim1a.htmに掲載されているものです。このサイトを発見した 杓谷昭子さんの訳で、アトリエ・ドゥ・キャファのメーリングリスト「Kijafa通信」に掲載され たものです。

大人になってからスイミングをはじめた人にとって、理想的なボディ・ポジションを「感じや すいように」記載されています。これまでの水泳指導でいわれてきたことと違うと思われるかも しれませんが、実際の競泳界の最先端でもこれと同じ理論が展開されています。競泳の世界では、 出産後や一度引退した選手がカムバックしてからもなお記録を伸ばして第一線で活躍しつづける 秘密が、ここにあります!  Dr. Terry Laughlin氏は、米国で多くのシニア・トライアスリートのスイム・レベルを「ハー ドではなく、スマートに向上させてきた」実績をもつ人です。どうか、だまされたと思って「T 字ドリル」を継続してみてください。「急がば回れ」相互コーチでレベルアップを!

≪第1回:なぜテクニックのほうが身体能力よりも大切なのか≫ ★Why Technique Matters More Than Fitness/Swimming Tips/"Inside-Out" Swimming ; Dr. Terry Laughlin

トライアスリートは、スイムを、より多くのラップ数をこなし、そしてそれをハードにこなす ことでがんばろうとする傾向が強いものです。ランやバイクの経験からやればやるほど上達する と、あなたが考えるのも無理はありません。しかし、スイムには、テニスやスキーのようなスキ ルを必要とするスポーツにより多くの共通点があるのです。

 スイムが難しいのは”水”の中だからです。水により、スイマーは、エネルギーと効率を失い ます。 1ストロークごとに、水はあなたにブレーキ、抵抗をかけ、エネルギーを失わさせます。

 このように考えて下さい。地面に立ち、空中に向かってジャンプし、およそ10キロカロリーが 失われたとします。このうち9カロリーは直接地面から飛び上がるエネルギーに使われます。 1 カロリーが、筋肉の運動が非効率なために失われます。筋肉は収縮すると摩擦が生じ、これによ り熱が放出されるからです。これが汗をかく理由です。数カロリーかは、無駄な熱を放出するた めに使われてしまいます。 しかし、プールで軽くジャンプし、数ストローク泳ぎ、同じ10カロリーを燃焼させた場合、そ のうち1カロリーだけがあなたの体を前に進めるのに使われ、残りの9カロリーは無駄なエネル ギーとして放出されてしまいます。その「無駄なエネルギー」は、水の抵抗のために使われるの です。

 水の中で人が動くと抵抗が生じます。そしてこの性質こそ、スイムがランやバイクのように簡 単にはいかない原因なのです。 ランと比べてみましょう。ランナーは、1ストライドごとに、地面を蹴り、密度の薄い空気の 中で体を動かしていきます。しかし、スイマーは1ストロークごとに液体を押し、そのまわりで は水の渦が生じ、スイマーはその渦によって引き戻される力を受けます。空気よりも1000倍の 濃度の水中で、体を前進させなければならないのです。ランナーにしてみれば、これは、ゼリー で出来た地面の上で強風の中を走るようなものです。

 水の抵抗のために、私たちは効率的に動けません。科学者の推定によると、世界級のスイマー でも消費エネルギーのうちおそらく 9%だけが効率的に使われているのだそうです。つまり、100 カロリーのうち91カロリーが、水の抵抗と液体を押す困難さのために失われているということに なります。初心者のスイマーは、おそらく、推進力に使われる効率は1〜2%でしょう。 100カ ロリーのうちなんと99カロリーは、水の抵抗によって失われているのです。

 効率の良いストロークというのが非常に重要になってきます。世界級のスイマーの優れたパフ ォーマンスのおよそ70%が、体のポジションとストロークの動きが効率的であることにより決ま り、あとの30%がそのスイマーのパワーや身体的状態により決まります。  あまり経験のない、スキルの未熟なスイマーにおいては、そのパフォーマンスの90%以上が水 のなかをどれほど効率的または非効率的に動けるかによって決まり、「どれほど鍛えられている か」という要素は、たったの10 %以下によって決定されるでしょう。  ですから、あなたが400メートルを10分で泳げるとして、それを9分に縮めたい場合、縮め る1分間のうちの5〜10秒(15%)だけは、鍛えること短縮可能ですが、あとの50〜55秒(85%) は、どれだけ水の中で自分の体を効率的に動かせるようになるかで縮めることが可能なのです。

 素晴らしく効率が良いストロークは、2つの要素の組み合わせから成ります。それは、@抵抗 を可能な限り最低にすることと、A全体的な推進力の効率を最大にすること、なのです。

 次のレッスンでは、なぜ、水の抵抗を最低にすることの方がそのうちでも重要なのかについて お話しましょう。

≪第2回:「発想転換」スイミング≫ ★A little Iron Man humour someone sent me./Swimming Tips/"Inside-Out" Swimming. Dr. Terry Laughlin(Total Immersion Adult Swim Campsの指導者、Inside Triathlonのコラム ニスト、SWIMマガジンの編集者)http://www.triclub.com/training/swim1a.htm (訳 杓谷昭子)

ほとんどのスイマーは、泳ぎを上達させようとハードに練習します。しかし、スイムは、70% がフォーム、30%が身体能力によるものだということを理解していない人が多いために、間違っ た方法を取っている場合が非常に多いのです。

 まず、腕や脚の動作にばかり集中して練習します。手を使って進んでいくので、注意がそこに 向けられるのは当然です。もしも、あなたのテクニックに問題があるとすれば、それはプルであ り、そこを直さなければならないと考えるのです。確かに、多くのコーチはこの考えを正しいも のとして取り入れています。ほとんどのスイムコーチや指導者は、プルやキックの方法を教えて います。しかし、腕のストローク(手の入水位置、どれくらいの深さでプルを行うか、どの方向 に手のひらを向けるかなど)は、実は泳ぐ速度にはそれほど多くの影響を与えません。もし、全 く間違ったプルのパターンをしているスイマーが、完璧に近いプルを学んだ場合、タイムは5〜 10%縮まるかもしれません※。 ※内藤注釈:世界のトップといわれるスイマーのプル・パターンは、選手個々によってまったく違った場合が 多々あります。たとえば、イアン・ソープが世界一速いからといって、日本のトップ選手がそれを真似たとして も、またはタッキーがそのプルパターンを寸分の狂いなく実践できたとしても、それが必ずしも日本のトップ選 手やタッキーにとって「もっとも速く泳げる方法とは限らない」のです。つまり、プル・パターンなどは、速く 泳ぐためには「その程度の影響しかない」ということの裏づけなのかもしれません)。

 しかし、水は空気よりも1000倍濃度が高いのです。抵抗を減らすコツを知らないスイマーは、 大きな抵抗と闘わなくてはなりません。自分のボディ・ポジションを大きく改善させると、スピ ードやストロークの効率は、20〜30%は即座に上がります。こういった例を、私のスイムクラス では何度も何度も見てきました。  水の抵抗をなくすようにするには、いわゆる「発想の転換」から始めなくてはなりません。ま ず、頭と胴体を中心にバランスを取ることです。皆さんの現在の段階では、腕のストロークが完 璧であるかどうかなどは心配しないで下さい。もし、体のバランスが取れておらず、ストリーム ライン(流線形)を形成せず、安定していなければ、たとえ大変に力強く効率的なプルをしても、 水の抵抗を受けて無駄になってしまうだけです。水の抵抗は、ボディポジションを調整するだけ で簡単に減らすことが出来るのです。 さらに、体のバランスがとれて安定していなければ、腕のストロークの力を最大限に活かすこ とができません。ですから、最も重要なことは、体のバランス(ボディ・ポジション)なのです。 これは、効率とスピードを上げるためには、何を置いても優先して実践すべきことなのです。

 水中でバランスを取るには、物理的な事実を理解しなくてはなりません。それは、人間の体は、 陸上での動作とバランスをとることに適応しており、脚が長く、腰から上の体積が大きいのです が、肺はつまるところ結局空気の袋です(魚は、逆に、水中で理想的にバランスを取れるように 出来ています。しかし、もし、あなたが魚だったとして、地上でしっぽで立とうとした場合どの ようなことが起るか考えてみて下さい。)水中では、左右の脇の下を結ぶ線あたりにかなりの浮力 があり、腰から下は岩のようなものです。当然、長く重い方の端は下がってしまい、沈みます。

 また、あなたが思うほど体脂肪は関係ありません。多くのトライアスリートやクロスカントリ ーランナーが、自分達の体脂肪は非常に少ないので泳ぎが上手くならないだろう、と言っている のをよく耳にします。「私の体は、沈むのです。絶対に良いボディポジションなんか作れるわけあ りません。」と言うのです。しかし、オリンピックスイマーもランナーやトライアスリートと同 じくらい引き締まっていますが、完璧なボディポジションを保つことが出来ます。彼らは、泳ぐ 速度が速いので、水中では高い体位置が保てます。しかし、どんなスイマーでも、オリンピック スイマーと同じくらい上手にバランスを取り、ずいぶんと少ない労力でかなり速く泳げるように なるのです※。 ※オリンピックスイマーほどではないにしろ・・・。

 また、ほとんどの初心者は(時には、優秀といわれるコーチでさえも)ハードにキックするこ とで体を浮かせようとします。無駄です。特に、トライアスロンのスイムでは。脚は、バイクや ランで使うのでスイムで最も疲れさせたくない筋肉でしょう。しかし、もし体がシーソーで、バ ランスを取るとしたらどうでしょう。つまり、体を伸ばし、前(頭側)の部分に重力をかけると、 後ろ(脚側)の部分は、容易に浮きます。これは、「Tに圧力をかける」ということです。こうす ると、あなたのお尻は、水面を抵抗を受けることなく難なく滑るようになります。  まず、頭頂部から背骨、お尻までをつないでいる「まっすぐな棒」を想像して下さい。頭を少 し上げると(多くの初心者がする息継ぎのように)お尻は沈むでしょう。これは避けなくてはな りません。  「Tに圧力をかける」について説明します。あご(あごを引いて)から胸骨(左右の肋骨の間 にある骨)の下までを垂直に結び、片側の肩からもう一方の肩(左右の鎖骨)を水平に結ぶとT の字になり交差します。この「T」に圧力をかけて泳ぎます(泳いでいるときに誰かに上から肩甲 骨を押さえているような感じです)。ローリングしたり、息継ぎをする場合でもTに重みをかけて おいて下さい。

 体のバランスを取るのに必要なのはこれだけです。余分なエネルギーは一切使わず、沈む重い お尻とはお別れです。水に入る前に下に述べるパートナー・ドリルで練習しましょう。

【正しいボディ・ポジションを作るパートナー・ドリル】

1.プールサイドで、二人がお互いに向き合って立ちます。腕は横に垂らしておいて下さい。  パートナーは手首の内側をあなたのあごにあて、ひじの内側はあなたの胸骨(体の中心線) に当たるようにします。

2.あなたは、あごと胸骨の間(左右の鎖骨と胸骨が作るT字)に同じ程度の圧力が均等にか かるように押して下さい。

3.パートナーに、どれくらい圧力が上手く均等に分散されてかかっているか伝えてもらって 下さい。均等に圧力がかかるように上手くできるまで練習して下さい。

 この感覚を良く覚えておいて下さい。泳ぎながらあごに重みをかけるなど馬鹿げたことの ように思えますが、陸上で練習したようにここに一定の圧力、重みをかけることができるこ とは、水の中でバランスを取るために、非常に重要なことなのです。

4.次に、この状態で、お尻と脚を浮かせます。お尻の部分の水着が水面に見える程度に浮き ます。パートナーに見てもらい、ボディポジションがこのようになるように調整してもらい、 腕は横にしたままで、頭は、背骨とお尻の線上に保ち、あごと胸骨に重みをかけながら、軽 くキックして下さい。最初は変な感じです。おそらく、思っているよりも強くTに圧力を かける必要があるでしょう。頭は沈めないでください。

これで、短い距離(20m以下)はバランスを保って、Tに一定の圧力をかけてキックする準備 が整いました。息継ぎのために顎をあげるたびに、Tへの圧力が逃げ、バランスを崩すでしょう。 ですから、ボディ・バランスを取り戻すチャンスをつかんで下さい。この練習は、ストロークを 取り入れるまで最低でも10分間行って下さい。

 Tにうまく圧力をかけられるようになったら、キックです(「気をつけ」の姿勢、両腕は体側に つけて行います)。このとき、力を正しくTに加えることだけを考えて下さい。短い距離(25m) だけです。もうお尻は沈まず、脚はりラックスしているでしょう。 Tを押しながら泳ぐ場合に感 じる代表的な感覚は、「スイムの下りの感覚」とでもいいましょうか。(あるトライアスリートは、 この感覚を、強い風の中のランで風にもたれかかっている感覚と似ていると言いました。)フリー スタイルの場合、泳いでいる間、誰かに背中から肩甲骨の間を押されているように一定に圧力、 重みをかけるようにしていて下さい。

 バックの場合、頭を下げずに後頭部と肩甲骨に圧力をかけ、あごを少し引いて下さい。難しい ことではありません。どこのスイムクラスでも、ほとんどの人が1時間くらいで出来るようにな ります。では、がんばって!

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≪第3回:速いストロークではなく、長いストロークを≫

★Longer, Not Faster, Strokes./Swimming Tips/"Inside-Out" Swimming. Dr. Terry Laughlin(Total Immersion Adult Swim Campsの指導者、Inside Triathlonのコラム ニスト、SWIMマガジンの編集者)http://www.triclub.com/training/swim1a.htm (訳 杓谷昭子)

 30年ほど前、私が水泳選手として泳ぎ始めたころ、スプリントでは誰にもかないませんでした。 しかし、距離が長くなれば長くなるほど、私は他の人より速くなっていくのです。他の人たちは ただ早く疲れてしまうようでした。ですから、私は長距離向きなのだと思いました。30年間にわ たる経験で多くのことを学びましたが、その中でも一番最初に学び、最もシンプルな事実はこれ (私は等距離向きなのだ、ということ)でした。  スイマーとしての私の強みが比較的疲れにくいことであるならば、ストロークをもっと疲労し にくいものにすれば、もっと伸びるはずだと思い付きました。  このことが、高校、大学を通じての私のテーマとなりました。大学では、私の最も得意とする レースは、25ヤード(22.86m)のプールの33往復(1650ヤード、約1509m)でした。1968 年に初めて泳いだときのタイムは、約22分でした。1970年までには、18分で泳げるようになり ました。その当時のアメリカでの記録は16分でした。それから大学で2年間練習したにも関わら ずこれ以上は速くなりませんでした。しかし、この経験から学んだことを活かし、後にはあるス イマーを15分で泳げるように指導することが出来ました。  私は大学まで泳いでいましたが、テクニックに関するコーチは受けたことがありませんでした。 しかし、長いハードなトレーニングは行っていました。私の「体は出来ていた」のですが、「効 率よく泳ぐこと」は出来ていなかったのです。今は、プールの片道を17ストロークで泳ぎますが、 その時は24〜25ストロークでした。1マイル(約1.6km)のレースでは、約1600ストロークで した。レースで速く泳ぐには、その1600ストロークを、より速く、そしてよりハードに行える ようにする必要があると思いました。速くなるには、例えば、レースを1100〜1200ストローク で泳げるようになればいいのだ、といったアドバイスをしてくれる人はその当事は誰もいません でした。

 私は毎日たった一つの目標を持って練習していました。それは、6000ヤード(約5484m)も の距離をこなし、出来るだけ一生懸命追い込み、出来るだけ腕を速く回して泳ぐことでした。そ してそれがこなせるようになればなるほど、よりハードな練習に耐えられるようになればなるほ ど、レースではたった1650ヤード(約1509m)だし、それに力いっぱい集中して泳げれば良い 成績を残せるのだと思っていました。実際、この方法でかなり上手くいったのです。何度か他の スイマーがレース後私に言いました。「そんなに長い間疲れることもなく腕を速く回し続けるこ とが出来る人を今まで見たことがないよ。」  それから数年間はこの方法で上手く行きました。しかしその後、壁にぶつかったのです。一生 懸命努力するだけで達成できる状態には限界があり、距離をこなすことで達成できるハードで速 いストロークにも限界がありました。その当時、チームメートに背泳選手がいました。私はよく 彼のことを怠け者だと思っていました。私が一生懸命に練習している間、彼は、私には遊びとし か見られないペースで、プールを長く楽なストロークで行ったり来たりしていたからです。  時々、彼は、私に「どうやったらそんなに一生懸命練習できるの?」と聞いてきました。しか し私は「もっと一生懸命練習したらもっと速く泳げるのに、なんでしないのだろう。」と思ってい たものでした。しかし、不思議なことに彼のベストタイムはナショナルチームに入る権利を得る くらい優れたものであったにも関わらず、私のタイムはそれには全然及ばないものでした。

 このことから学んだことがありました。私がコーチになってからようやくわかりました。それ は、速く泳ぐには、「速いストロークではなくて長いストロークが必要なのだ」ということです。   ここに、2つの研究がその事実を証明しています。 ペンシルベニア州の生体力学者は、1988年のオリンピックの水泳すべてをコンピュータ解析し ました。また、ロチェスター大学のリサーチグループは、同年のアメリカ・オリンピック・トラ イアルレースの結果をすべて解析しました。両者の研究の目的は、速いスイマーと遅いスイマー を分けている違いは何なのかを調べることでした。(ここで「速い」「遅い」は相対的に使ってい る言葉であり、すべてのスイマーはエリートレベルです。) そこでは、両者の研究とも同じ結果を導き出したのです。「速いスイマーのストローク数は少な いという事実」です。  ストローク数を少なくすることは、ただたんにストローク数を減らせばよいというものではあ りません。速いスイマーは、「どうしたら1ストロークで自分の体をより遠くに移動させられるの か」を知っている(体感として、スキルとして身についているということ)ので少ないストロー クですむのです。 これを実現するには2つの方法があります。1つは、ストロークごとに推進力を最大にして、 水中で体をより遠くに押し出すのです。これは推進力をつけることです(最大筋力で水を後ろに 押しやることと同意)。そして、もう1つは、「いかに1ストロークごとの抵抗をなくすか、抵抗 を最小にして体がより遠く(前)に進み易くするか」なのです。  ストロークで進む距離を伸ばすには、抵抗をなくすことで70%が、推進力をつけることで30% が可能となります(第1回のレクチャーを参照)。ですから、まず常に水の抵抗をなくす方を優先 すべきです。推進力をつけるのはその次です。しかし、スイムのテクニックに対して、私たちは ほとんどの場合、逆の順を取っているのです。  抵抗をなくすことは、ボディ・ポジションを改善することで可能になります。推進力をつける スキルは、水中で「いかに上手に水をつかめるか」にかかっています。(しかし実際には、推進力 を最大にするには、自分の体幹の筋肉を使い、腕の筋肉とのバランスを上手く取ることが重要な のです。)私たちはスイムテクニックのことについて言う場合、いつも手の動作のことを先に考え ます(やれ入水角度がどうの、キャッチポイントが早いだの遅いだの、プルの軌跡はS字がいい のかストレートがトレンドだとか・・・)。抵抗をなくすには、3つの方法があります。

 1.体のバランスを取ること。

私たちの体は、足と脚が沈むように出来ています。これは“ボディトルク(body torque)” と言われます。トルクが増えるごとに、スイミングでは(水平線)線方向でのエネルギーが 失われます。これにより大きな抵抗が生じるのです。抵抗を減らす最良の方法は、お尻と脚 が上体と同じくらいの高さにまで持ち上がるようトルクを減らすまたは、体のバランスを取 ることです。(前回のレッスンを参照して下さい。

2.体を長く伸ばすこと

体を長く伸ばすことでも抵抗を減らせるのです。

3.体を横側に回転させる

体を横側にする(ローリングさせる)と、うつ伏せの状態よりもより簡単に水中を滑って いくことができ、抵抗を減らすことができます。

では、1マイル15分で泳げるように指導したひとについてお話しましょう。彼が10代前半の ときに、数年の間ゆっくりとしたスピードで非常に少ないストローク数で泳がせ、“速く泳ぐスピ ード”と“ストロークごとの距離”との関係を戦略的に考えられるようにいつも練習させました。 その結果、どんなスピードでも最大の効率で泳ぐことができるようになりました。彼が成長する と、その非常に効率の良いストロークの基礎に加え、力強さと身体能力がさらに増したので、い つも素晴らしいスピードで泳げるようになりました。彼が1650ヤード(約1509m)を15分で 泳いだとき片道で14〜15ストローク、レースでは1000ストロークでした。 速いストロークではなく長いストロークで泳ぎましょう。 そしてボディポジションに気を付けて抵抗をなくしましょう。そうすれば、あなたも速く泳げ るようになります。では、ハッピースイミング!

≪第4回:長いボートが速い≫

★Longer Boats Are Faster./Swimming Tips/"Inside-Out" Swimming. Dr. Terry Laughlin(Total Immersion Adult Swim Campsの指導者、Inside Triathlonのコラ ムニスト、SWIMマガジンの編集者)http://www.triclub.com/training/swim1a.htm (訳 杓谷昭子)スイミングアドバイス4

 多くの船荷を積むためではなく、スピードを出すために作られたボートがどのようなものか注 意してみたことがありますか? 船荷を積むように作られた典型的な船に、平底の荷船(barge) があります。中央と正面が広く造られ、出来るだけ多くの荷物が積めるようになっています。し かし、引船がどれだけパワフルであろうと、荷物がカラで川を下るようなときでさえ這うような スピードしか出ません。  スピードが出るように作られた船は、シェル型ボート(スカル(scull)に似た競走用の軽量ボー ト)です。人間がエンジンのボートです。8人力しかなくても、引船の何千馬力と比較しても飛 ぶように動きます。では、シェル型ボートのデザインは、どうなっているのでしょう? 船首か ら船尾まで針のような形状であるだけではなく、船員が座る場所の前後がとても長く伸びたデザ インをしていますね。

 1830年代から1840年代にかけて、快走帆船(Clipper ship)の持ち主の間で、海を速く渡る記録 を競い合うことが流行っていました。帆のパワーだけが頼りで、大きなエンジンを積むことは不 可能であったので、スピードを上げる唯一の方法は、ボートのデザインを変えることだけでした。 W.Froude造船技師は、様々な形の船を試作し、どんな長さ、幅、喫水の率が最速の船を作るの に理想であるかを研究しました。  Froude技師の発見によると、ほかの条件は同じとすると、抵抗を減らす最高の方法は、船を(喫) 水線(船側と水面とが相接する線)で船が出来るだけ長くなるようにすることでした。今日でも この「Froude数」が船のデザインに取り入れられています。レース用シェル方ボートからアメリ カズカップのヨットに至るまで高速の船はどれでもが、すべてが同じように長く、滑らかな形を しています。

 ここから何が学べるでしょうか。多くの(いや、ほとんどの)スイマーたちは、速く泳ぐには エンジン(筋肉と心肺系)を大きくすることがもっとも重要だと思っています。皆、ジムに通い、 パドルでプルをし、長距離を泳ぐ(エンジンの燃料キャパシティ<心拍数とカロリー>を増やす ために)のです。しかし、いくらエンジンパワーを増強させても、受ける抵抗を考えるとそれは たいして功を奏しません(先のボートを例にすれば、いくら馬力のあるエンジンを積んだとして も、「平底の荷船」であってはエンジンの性能は水の抵抗に対するだけで思ったほど速くならない)。  抵抗を抑える船のデザインは、スピードアップするために非常に効果的なのです。Froude 技師は、船を長くすれば、抵抗と、抵抗に対抗するために使わなくてはならないパワーを大きく 削減できるということを教えてくれました。12フィート(約3.7m)と16フィート(約4.9m) のカヌーを並べてプールに浮かべ、同じ力で押すと、常に16フィートの方が速く進みます。

さて、体が長い方が速く泳げるということはわかりました。しかし、私の場合、身長6フィー ト(約183cm)で、これより高くなりません。ではどうすれば良いのでしょうか?  私が頭の上に腕を伸ばすと私の手の指先から足まで約9フィート(約274cm)になります。 Froude技師の研究によると、9フィートの船は、6フィートの船よりも約25%速く進むことにな っています。

簡単なテストがあります。腕を体の横にしたまま(6フィート)でプールの壁を力いっぱい蹴 って伸びるだけ、伸びます。そして、今度は腕を頭上に伸ばして手のひらをロックし、体が流線 形になるように伸ばして同じように蹴伸びしてください。より遠くまで伸びるはずです。  結論:これ以上の努力(ハードワーク)をしないで速く泳ぐには、各ストロークで出来るだけ 長い間、体を長く伸ばすこと。これには3つの方法があります。

 1.入水時に手を完全に伸ばすこと(内藤注釈:感覚的には、「肩関節〜上腕」です)。 手をプルにしか使わないと考えると、伸ばさずになるべく速くプルをし始めがちです。手 を遠くに伸ばしても進まないので、時間の無駄だと思う人がいます。それでは、自分の体を 短くし、スピードを上げる可能性をつぶしていることになります。手(腕)の最も大切な働 きは、ボディラインを伸ばし、体が進むスピードを上げやすくすることです。 2.手をのばした後、プルまで少し待ってください。 スイムキャンプにおいて、水中ビデオでスイマーを分析しました。手が入水するとすぐに プルを始める人を見ていると、一方の手が水に入る前に、プルをした手が常にお尻の下にあ りました。これでは、ストロークのほとんどを9フィートではなく6フィートの船として泳 いでいることになります。

 左手でプルを始める前にその手を伸ばして、ほんの一瞬止まって伸びると、リカバリをし てくる右手が、伸ばしてプルしようとしている左手にやや追いつきかけ、左手が頭の下あた りを通るころには、リカバリしてきた右手が頭上で入水します。 3.右手が入水し、伸びると同時に右側にローリングします。 1ストロークごとに、エントリー(入水)で手を伸ばしたときに片側にローリングして、ロー リングした片側に「乗って」伸びた状態でほんの少しの間とどまりましょう。(内藤注釈:布 団に横たわり、片腕を前に出して「肩を枕にした状態」が似ています)。

つまり、伸びが小さければ、速いストロークで泳いでも利点が少ないということです。ストロ ークごとに少しだけ長く片腕を伸ばし、各ストロークで自分を長くし、抵抗を大きく減らしまし ょう。若干、腕の動きに重なり(キャッチアップ)を感じるでしょう。これがあまりにも大きい と、ストロークのリズムが崩れてしまいますので注意してください。ただ、ほんの一瞬長く伸び るだけで違いがあるのです。これでストロークごとに苦もなく遠くに速く進めるようになるでし ょう。


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