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【5月23日(日)レース当日:スイム・バイク編】
 午前3時30分起床。ついに、高揚するほどの緊張感もないままにこの日を迎えてし まった。外はまだ暗い。長田アニーと二人で黙りこくって朝食の弁当を食べ、YS田怪 鳥とともにホテルのバスで富江のスイム会場へ。(なんとバスの客は宿の選手5名ほ どだけで、とっても快適な移動!)西の鬼岳上空が明るくなり始め、薄っすらと夜が 明けていく。見渡せば雲ひとつない晴天。選手、ボランティア、スタッフや応援の誰 もが暑い1日になることを覚悟しているだろう。会場についてバスを降りると、大漁 旗がバタバタとはためくほどの強風だ。海はさざ波程度だが、バイクでは、強い選手 は向かい風に、弱いものは追い風になってくれと考えているかもしれない。今年の宮 古島と同じような強さの風だ。ただでさえキツいバイクコースなのに、これが向かい 風になったらいったいどれくらいの時間がかかるだろうか? バイク・フィニッシュ 時点で、どんなコンディションでいるだろうか?

脚と腕のマーキングを済ませる頃、ついに陽が昇る。水温は19.5℃、風速3〜 4m(だったと思う)。どす鯉ら3名は、報道カメラマンから「使用前」の記念写真を 撮ってもらい(思いっきり逆光でよう写っとらんやないケ!)、他の選手と同様、 ウォーミング・アップを3kmほどのランで済ませた。スタートまでの約30分は各々無 言で準備だ。安田怪鳥は、スイムスタート地点に行く間にどす鯉とアニーにはぐれ、 ひとり不安で心細くなりながら砂浜で号砲を待っていたようだ。アニーは、先の米国 アウトドア教室での学習を実行すべく(?)、極秘のスタート位置についたようだ。 どす鯉は、ずらっと横に並んだスタートライン前列の左側から出て、スイムが得意と 言う選手と共にバトルを避けてラインの先頭を泳ぐ作戦にした。

フローティングでスタートの時間を確認していると、やや高めの音で「すぱん!」と スタート合の図!(だったと思う)。ややや、スタートだ!思い切りではないが、後 ろから抜かれない程度にダッシュをかけた。 「スイム(だけ)が得意」と言っていた 選手としばらく並行して泳いだが、すぐに離れてしまった。いったいどっちが間違っ た方向に進んでいるんだ!? 海はボートが過ぎ去った後に出来るような小さなうね りが左から右へとあり、呼吸と左手入水のタイミングが合わせづらい。かつてのよう な泳力が今はないため、海水を飲まないように確実な呼吸を意識した超マイペースの 泳ぎになっている。右の前方に縦長の集団が見えるが、自分の周りに選手はいない。 誰かの後ろに付いて楽に泳ぎたいところだが、ペースをつかむまでバトルを避けたい ので、第1コーナーまでは我慢の泳ぎだ。
しかし、第1コーナーまで900mほどのはずなのに、いつまでたっても着かない!満ち 潮か?第2コーナーを廻っても小さなうねりが気になるし、目指すフィニッシュ地点 の目印がどれだか分からない! 1周目でかなり先頭から遅れてしまったようだ。海 水を飲まないように意識するあまり、ブレスのときに大きく腰が落ちている事に気づ く。その後は、タイミングキックを入れて、腰が落ちないようにした。スイム2周目 は、右手にロープを見ながらほぼ同じレベルの海外選手と共に、前にいた集団をひと つ抜き、更に前にいた集団に追いついたところでスイム・アップ。タイムも順位も分 からないが、順位はそれほど良くなさそうだ。仕方ない。この1週間、ほとんど泳げ なかったのだから。

 さぁて、お次は風の中でアップダウンのバイクだ。バイクは、島の南東側の富江湾、 鬼岳を廻ってから島の中央を東西に走る幹線道路を西に向かい、南側(玉之浦町)を時 計回りに1周回、北側(三井楽、岐宿町)を反時計回りに2周回して福江中央公園に 戻るコースだ。途中、荒川温泉から二本楠までの3kmの長い登りを3回通過することに なる。ここが、バイク最大の難所だ。スタートして30km地点は58分、 60km地点で1時 間57分。いくつかのアップダウンがある割りに、どす鯉にとってはいい調子だ。

富江の町中を通過する交差点を左にカーブする辺りでは、今回もすごい応援だ!3年 前もここの熱狂的とも思える応援に、コーフンしたものだ。老若男女の大応援にヘル メットに右手を当てて「最敬礼」で応える。「ヨシャっ!どす鯉は今回もギバリよる けんの!」鬼岳の麓を反時計回りに走り、国道384号線に入って福江市外をかすめて から県道27号線に入る。ここからいよいよアップダウンの続く周回コースに入ってい くのだ。玉之浦町の選手とすれ違う唯一の折り返し地点手前(73km地点)で、後ろか ら追いついてきた元同僚で最近はよくTJ誌に登場しているNK道選手に「よお!どす こ〜い!いいペースで走ってるじゃん!」と声を掛けられ、軽く抜かれた。 どす鯉はヒソカにこのNK道氏を目標にワイハーを目指してはいるが、実際にワイ ハー常連の彼との走りの差は「月とスッポン」、「月面宙返りとスッポンのひっくり 返り」くらい差があるのだ。抜かれてから4〜5kmほどは20〜30mほどの間隔をあけて 付いていたが(というか、だんだん離れていったのだ)、ちょっとした上りで、 「あっ!」という間もないうちに、まるで馬に蹴飛 ばされたかのように置いて行かれてしまった。恐るべきウマ脚なのである。

90km地点では2時間56分。計ったように時速30kmペースを維持している。このころ、 後ろからパラパラと抜かれた数人の中に、荒川中流をアジトに活動している新興チー ム、ワイルド・リバーのジャージを着た青年を発見。三井楽〜岐宿の1周回終了地点 あたりまで、かなりの距離を抜きつ抜かれつしていた。向こうはどす鯉のチームを知 らないだろうが、こちらは近隣チームを全て調査済みなのである。新興チームにそう 簡単には抜かせられないのである。ここで老舗チームのジツリキを見せねば、荒川〜 江戸川周辺のナワバリ争いで下克上されてしまい、勢力図が書き換えられてしまうの である。

ゼェハァの荒い息を我慢して平静を装い「ども、ワイルド・リバーのHPよく見てます よ!」とその青年に声を掛けてみた。すると「そうですか!アリガトございます!今 度掲示板に書き込みしてください!」と、どす鯉とは正反対な元気のいい声が返って きた。マズイ、早くも新興チームの下克上に太刀打ちできそうもない気配である。予 想通り、岐宿方向の2周回目に入る二本楠の交差点から向かい風に煽られて、どす鯉 はあえなく力尽きてチギレたのであった。ワイルドリバーにゲコクられてしまい、こ れからの荒川〜江戸川サイクル・チーム勢力地図に大きな影響を与える結果を招いて しまったのだった。

さて、今回のレースではドラフティングが全くと言っていいほど見られない。途中、 ドラ防止のために7m間隔で3〜4本の線があり、選手各自が前の選手との距離を チェックできるようになっている。マーシャルのオートバイも、確かにひっきりなし に走り回っているのだが、それ以前に、このアイアンマンレースに出場している選手 の意識の高さが未然にドラフティングを防いでいるような気がした。抜かれるとき も、「そんなに離れると対抗車線に出ちゃうよ!」って思うくらい、しっかりと距離 をとって抜いていく。ここまでしっかり距離を取られて抜かれると、いっそ清清しく なってきて、「おうっ!兄ちゃん速いネェ!最後までこの調子でギバレよ!」と思わ ず応援したくなってしまうのであった。宮古島や佐渡でも、「7m間隔の自己確認方 式」はドラフティング防止に有効なのではないかと推測された。是非お試しを。

3回通る二本楠の3kmの登りの初回は、風もそれほど強くなく、どす鯉にしてはあ まり抜かれずにクリア。坂の2/3を登ったあたりに、今年もいたいた赤い巨大扇の応 援団!先頭のエリート選手から、あえぎながらヨロヨロ登る最後尾の選手まで、ずっ とこの巨大団扇を頭上高くまで上下して応援してくれるのだからすごい体力だ! こ ちらが「頑張れよ!」と言いたくなってしまうほど力のこもった応援団である。「ド モ!アリガトさんです!」と巨大団扇の一つ一つに御礼を言って坂の上を目指す。

頂上のトンネルを抜けると長い下りだ。今回は先の宮古島のときと同様、空腹を覚え ずとも1時間ごとには必ず「おやつ」をいただくことにしているのだ。トンネルを出 てすぐに、スペシャルでもらった干しぶどうとカンコロモチを2切れ取り出す。しか し、几帳面にバカ丁寧に包んだもんだから、なかなかラップを剥がせんのである。 ラップを剥がそうと手元に集中すると、ハイスピードでコケそうになってウルトラ危 険なのだ! こういう場合、几帳面な性格は損なのである(というより、取り出しや すいように捻り包みにすべきであった)。

120kmを過ぎても、なんと意外とまだ元気なのであった。いつもならケツの痛みと エネルギーの残り具合、残りの距離を気にしながら、早く終わってくれ!とヒタスラ お祈りの時間と化す頃なのであるが、ここまで走ってもまだ踏み込める力が残ってい てウレシイのだ。今年初めから取り組んだ高トルク練習の成果だろうか。2回目の 3kmの峠道は適度な風もあって大変気持ちよく登れたのだった。途中、車で移動する 辻本さんに発見され(Kifajaバイクのオーナーだから当然か)「おお、ナイトーさ ん!随分前のほうを走っているじゃないですか!」とお世辞声援。続いて助手席の方 から「どす鯉日記、読んでますよぉ〜!」とコレまた鯉の滝登りでもしたくなるほど ウレシイお世辞応援(ン?チト違うか)。赤い大団扇の応援団の声援にもガッツポー ズで元気に応え、残すはあと1周回!
この2回目の登坂中、すごい勢いでクロプコおじさんともう一人の海外選手に抜か れた。実は、もっと軽やかに登っていくのかと思っていたが、ウマ脚のN道選手よろ しくもうパワー全開、有り余る力でペダルをくるくる(ガシガシ?)回して登ってい くのだった。MTBクロカンの竹谷選手が、トップエリートの走りをみて「くるくるガ シガシ」と表現しているが、まさにそのとおりだと思った。こちらどす鯉は、比較的 調子がいいと思っていたのだが、それは単たる自己満足かも知れないのだ。傍目には 「エッチラオッチラ」走法になっていて、クロプコおじさん達と同じ人類とは思えな い「遅い人」であるのが真実なのだ。

そして、峠を下って二本楠の交差点を左折して受けた向かい風に、どす鯉が立ち向か うエナジーはもう残っていなかったのである。あと40km前後。もう一回ある3kmの峠 まではナントカもって欲しいと思うが、前の周回に比べて明らかにペースが落ちてい る。おお、そういえばエサ不足か?と思い、この時のために用意しておいた「必殺! マメご飯おにぎり」をスポーツ・ソルトと共に口に放り込む。ASでもらったアイアン マン・ジャパン専用バイクボトルの水で胃に流し込む。半透明で口の部分が赤く、 中々いいデザインのボトルだ。最後のエイドで新たに2本ボトルをもらい(計4本の保 持)、お留守隊の土産にしよう!きっと買うはずだ!(売るな〜) 小遣い稼ぎのい い考えが浮かんでちょっと嬉しくなったのだ!

いつものロング・レースよりはまだマシとはいえ、さすがに向かい風はキツクなって きたし、最後の3kmの登坂も風が止まって暑い暑い!赤い巨大団扇応援団に「ハァ、 ゼイ、ハァ」としか応えられない。あごからは汗が滴る。思わず、フロントギアをト リプル・インナーに落として登った。最後の下りは、もう足を止め、補給をし、回復 を待ちながらの滑降だ。これまで2回左折した二本楠の交差点を直進し、いよいよバ イクフィニッシュ地点の中央公園に向かう。

残りはあと10キロ余りだが、ここでも最後まで向かい風とアップダウンが容赦なく痛 めつけてくれる。中央公園手前の山間道路では、もうランに入った選手たちとすれ違 う。坂をスタンディングで乗り越え、ギアを軽くしたままランに備える。バイクゴ〜 〜〜ル!サイクルコンピュータをみると、ネット・タイムで6時間13分だった(トラ ンジットを含めたスプリットタイムは6時間20分)。最後の30数kmはAv.25km/hrにま で落ちてしまった。ヤッパシどす鯉の場合は、登坂力の強化が課題だ。

(ラン編につづく)

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